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電解による機能性表面の創製

電解窒化法

(特開2009-52104、特許第4471728号)
アイ’エムセップでは、MSEPにより、材料表面の窒化やホウ化、炭化といった表面改質や、金属窒化物やホウ素などによるコーティングなど、電解によりさまざまな機能性表面を創製することができます。このような表面の高機能化の一例として、下図に電解による表面窒化法を示します。表面処理対象となる導電性の基材は、陽極として電解浴中に設置します。
この陽極表面で、あらかじめ溶融塩中に加えたナイトライドイオン(N3-)を電気化学的に酸化すると、極めて活性な窒素原子を生成し、これが基材表面の金属と反応して窒化物層を形成します。この「N3-」の反応以外にも、窒化処理に利用できる反応は複数存在しますので、材料の種類や特性に応じて、最適な処理方法を選択することができます。
また、この電気化学的な窒化反応は、基材表面の、溶融塩と接する全ての箇所で進行するので、例えば下図の微小円筒内部のように、微細かつ複雑な形状の基板表面の窒化も可能です。

溶融塩中の電解窒化反応の一例

窒化処理を施した微小円筒(SUS304)の断面SEM写真

低温窒化による新材料の創出

使用する溶融塩の種類を選ぶことで、従来、迅速な窒化が困難であった300℃以下での窒化処理も可能になります。例えばステンレスの場合、表面に安定な酸化物皮膜が存在するため、耐食性が高いですが、表面の電気的な接触抵抗は大きくなります。

このステンレスについて高温で窒化処理を行うと、表面の硬度が高くなり、接触抵抗も低減するなどの効果が得られますが、一方でステンレスが生来持っている高い耐食性は損なわれてしまいます。

しかし低温で窒化処理を行うことにより、ステンレスの持つ耐食性を損なわずに、表面の接触抵抗を低減し、表面の硬さなども改善することができます。この低温窒化されたステンレスは、燃料電池の金属セパレータをはじめとして、幅広い応用が期待されます。

このように、低温での窒化処理では、高温での窒化では得られないような機能性表面を実現できる可能性があります。このような低温窒化は、これまで限られた方法でのみ実施できる難しい処理法でしたが、MSEPによる電解窒化法により、簡便に実施できるようになりました。

約300℃で窒化処理後のSUS304の断面SEM写真

図 約300℃で窒化処理後のSUS304の断面SEM写真

低温窒化試料の電気化学的な耐食性試験結果

        図 低温窒化試料の電気化学的な耐食性試験結果
(リニアスイープボルタモグラム、20mV/min 、5wt% 硫酸溶液、室温)

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